光による電子の励起(数式なしの説明)

4章で述べたように、電子のエネルギー準位は、飛び飛びの値のみが許されます。

もしそうではなく、どんな値も許されるのなら、自然界のちょっとしたエネルギーをつかまえて、それによって少しずつ高いエネルギー準位を得ていくことも可能です。

しかし現実には、可能なエネルギー準位には飛び飛びの値しか許されないのですから、その「飛び飛び」以上のエネルギーをえないと、高いエネルギー準位には移れないのです。

これはいわば、ウサギとカメの競争のアンチ説話のようなものです。

ある地点から別の地点まで、ずっと地続き(どんなエネルギーもありうる)なら、ウサギが寝ている間に少しずつ地道に進めば、カメの方が先に到達できます。

しかし電子軌道の場合、あちこちに地割れがあって、ジャンプしないかぎり決して進めない(飛び飛びのエネルギー準位)のです。

こうなるとジャンプ力のないカメはお手上げです。

とはいえ、ウサギだってまったくの空腹状態ではジャンプできません。

それに必要な食物(エネルギー)を与えることで、はじめて別の地点に移れるのです。

そのためには、ちまちまと少しずつ食物をあげてもダメです。

もっとも食物の場合、体内でたくわえることもできますが、それは考えないことにすると、ジャンプに必要な食物を一度に与えなければなりません。

そのエネルギーに相当するものが、実は光なのです。

といっても、波動としての光というより、粒子としての光です。

先ほど電子という粒子には波としての性格もあると述べました。

その反対に光はもともとは波動と考えられていますが、それ以外に粒子としての性格も持つのです。

粒子としての光(光子、あるいは光量子とよぶ)は、それぞれの粒子が、光の振動数に比例するエネルギーを持ちます。

振動数に関係なく光の強度を大きくすることはできますが、その結果は粒子の数が増えるだけでそれぞれの粒子のエネルギーが大きくなるわけではありません。

すなわち電子のエネルギー準位間のジャンプは、対象となる原子の種類によって決まる一定の値より高い振動数の光を与えることで初めて可能となるわけであり、それより低いものをいかに強く与えても無意味なのです。

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