開放電圧と短絡電流
前章の最後の段落で、光が当たり続けたとしても、外部との回路接続がない限り、やがてはその動きも止まると述べました。
そう、ちょうど光励起が自由電子をn型半導体に押しやる力と、n型半導体に自由電子が集まって生じる電界が自由電子を押し戻す力がつりあうところでとまるはずです。
その時のn型半導体とp型半導体との電位差を、開放電圧といい、通常はVocで示します。
その値(ボルト単位)は、価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップの値(こちらは電子ボルト単位)に近い値です。
電子ボルトという単位が、そもそも電子1個分の電荷を1ボルトで加速した時のエネルギーなので、両者はほぼ一致します。
一方で完全に一致しないのは、n型半導体において不純物帯と伝導帯の間に若干のギャップがあること、またp型半導体において不純物帯と価電子帯の間に若干のギャップがあること、などが原因です。
開放電圧は、1つの太陽電池が生じさせうる電圧の最大値を示す目安で、シリコン系の場合、大体1ボルト弱です。
一方、電流の最大値は短絡電流と呼ばれ、通常はIscで示します。
これは開放電圧とは逆に、外部でn型半導体とp型半導体とをショートさせた時に流れる電流です。
ショートさせるので外部の電気抵抗も電圧も0であり、したがって短絡電流は、励起される電子の数に比例することになります。
すなわち受光部分の面積×照度に、バンドギャップ以上のエネルギーを持つ光子の割合をかけた値に比例します。
太陽の最大照度はわかっています(単位時間のエネルギーに換算して1平方メートルあたり1キロワット程度)から、結局受光面積あたりの短絡電流は物質により決まります。
シリコン単結晶の場合でいえば、1平方メートルあたり400アンペア程度です。


