シリコン薄膜太陽電池

さて太陽電池の代表的な素材であるシリコンですが、もちろん太陽電池のためだけに役立つ物質ではありません。

シリコンという原子自体は非常に豊富に存在するのですが、それでもガラスや各種樹脂を作るのに不可欠ですし、また太陽電池と同じ半導体用途に限定しても、いわゆるLSIを作るための最も基本的な物質だからです。

LSIの単位面積あたりに許されるコストは、太陽電池とは比べものにならないくらい高額です。

すなわちシリコン結晶は貴重品であり、半導体の需給状況による影響も受けやすいのです。

太陽電池用にはグレードの低いものを使うのが普通ですが、それにしてもそれをふんだんに使うのは、産業全体からみても好ましくないし、太陽電池の価格を必要以上に押し上げてしまうことになります。

実際18章で紹介したジーメンス法は、大きな設備が必要であり、ランニングコストも高いのです。

そこでシリコンの使用量を削減する必要が出てきます。

その代表的な方法が、シリコン結晶を薄膜(はくまく)化することです。

そもそも太陽電池に必要なシリコン結晶は、それほど分厚い必要はありません。

ハムや食パンを例にとってしまったので200~300マイクロメートルでも十分薄いと感じるかもしれませんが、薄膜というのはそれより2桁下を指します。

結晶に比べると変換効率は低いのですが、高温環境に強いというメリットもあります。

太陽電池のシリコン薄膜結晶は、微結晶(microcrystalline)とも呼ばれます。

従来よく用いられてきた製造方法は、アモルファスシリコン膜(次章で詳しく説明)をまず作り、そこにレーザーを当てて加熱して結晶化するというプロセスです。

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