結晶シリコン太陽電池の変換効率向上
ここまで述べてきたように、単結晶シリコン太陽電池では0.25、多結晶では0.20程度の変換効率が実現されています。
もちろんこれは簡単に実現したわけではありません。
1954年に米国ベル研究所で開発された世界初の単結晶シリコン太陽電池の効率は、基本的な原理は今と変わらないにもかかわらず、たった0.06でした。
それが約4倍にまで向上したのには、さまざまな工夫が加えられたからです。
18章で述べたように表面電極をできるだけ小面積にしたり、反射防止膜をつけたりするのもその工夫の1つです。
ここではそれ以外のものを2つほど示しましょう。
1つは、主に表面(n型)側の工夫です。
光は反射(や屈折)を繰り返しながら進んでいきます。
途中で価電子帯の電子にぶつかれば、めでたくその光子は発電に貢献したことになりますが、その機会のないまま、外に帰っていってしまう光子も当然あります。
そうしないためには、光をできるだけ太陽電池内に閉じ込めることが必要です。
デパートの滞在時間を長くできれば買い物量の増加が期待できるのと同じことです。
光を閉じ込めるために表面に形状的な工夫がなされています。
ただしその工夫もさまざまです。
総じて、単結晶であればピラミッド状の凹凸、多結晶であれば筋状の凹凸といった感じです。
その幅や高さは10マイクロメートル程度です。
もう1つは、主に裏面(p型)側の工夫です。
裏面では自由電子と正孔の再結合が起きやすい(これは表面でも同じ)ので、それを防ぐ必要があるのです。
そのためにp型と裏面電極との間に、不純物(ホウ素など)の密度を高めたp+層をはさみこむのです。
これによりそこにさらに内部電界ができ、再結合がブロックされます。
こういった構造をBSF(Back Surface Field)と呼びます。


